老人の主張14
                 増税は国民的義務かマインドコントロールか

                            
        ななえせいじ
 
                                         
 今回の防衛に掛かる増税案には老人は賛成できません。ぼやきつつも政府のやることだからと理解しつつも突然お上のお声がかりで戸惑っております。いきさつはいろいろありましょうが「国民の安全」を護るという大義の前にはよもや国民の反対はあるまいと多寡をくくった政権与党の思い上がりが透けてみえます。ほかに、例えば支持率アップを狙うとかの政治的意図があったのかもしれません。が、折しも何やら協会の被害者救済法案が姦しく議論されていた直後だけにこの種の増税論は法事の際のお布施に通じるものがあって重なって見えてしまうのであります。
 折しもウロ戦争さ中であります。核兵器使用も辞さない劣勢ロシアの動向が注目されて日本国民にも不安が広がっております。その機を見はからって政府は支持率を上げたい思惑から「時は今だ」と急いだのでしょうかね。
 戦争を知っている昭和最後の老人はあくまでも「戦争絶対反対」であります。「防衛予算など無駄だ」とばかり政府の閣議決定に疑問を感じるのであります。
じゃあどうやって国を護るのか、と聞かれれば丸腰に勝る防衛手段はないと思っております。そう考える老人は沢山おりますよ。何のために国連があるのか、大国といえども理不尽な戦争には世界から見放され孤立していきますよ。なまじっかの武装では国は護れません。核武装?冗談じゃない。広島を忘れたのか。敵国を滅ぼしたとて自国が栄えるという保証はありません。ロシアが核使用をにおわせるがそれは同時に自国も滅びるということを示唆します。国同士の喧嘩もチンピラ同士の喧嘩も動機は似たようなものだ、とまあ多くの老人は短絡であります。ともあれ今は政府のマインドコントロールにはまらないことだ。
 経済大国日本は様々な能力が蓄積されております。それ故に世界中に同盟国あり、経済援助国あり、交渉力、技術力等々武装に勝る力が備わっているはずです。無一中無尽蔵、何も持たなければ国民の力は無尽蔵に存在するはずです。
 もう一つ気にかかったのは、岸田内閣が増税方針を表明したのは12月8日だそうです。
 この日はご存じあの忌まわしい太平洋戦争勃発の日であります。同時にこの日はお釈迦様が悟りを開いた日でもあります。お釈迦様は難行の末に突如悟りを開かれました。その難行が「布施」であり「禅譲」であり「忍辱」(にんじょく)他であります。まさしく政府の増税案は国民に対して「忍辱」を強いるものであります。太平洋戦争敗戦の日、昭和天皇は玉音放送で「耐えがたきを耐え忍び難きを忍び」と申されました。
 時代は繰り返すのかな、もう耐えられません。今こそ国民は立ち上がる時。
 良いお年をお迎えください。

                 
 2022年12月23日
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