老人の主張10
                   
先ごろ出版した「老人の主張」の一部を訂正いたします。

                            
        ななえせいじ
 
                                         
 日本企業をダメにするゾンビ企業と題する調査データがあります。ゾンビ企業とは、実質的に経営破綻に陥っているにも関わらず国や金融機関の支援により「生ける屍」状態で経営を続けている企業のことだそうです。その数16万社、率にして11.3%。
 かつてバブル期、山一証券等大型企業が破綻しました。その教訓の下に国策として何かが起れば国は財政を出動させ救いの手を差し伸べます。先の国会でも景気対策として事業予算71兆円の大型予算を組みました。政権与党は仮にそれがバラマキと批判されようと支持率低迷を打破するためには景気対策として国の方向性を示したまで。しかしいつもこうした予算の在り方が日本経済の甘えの構造を産みました。大企業中心の財界組織は、例えばコロナ禍にも政府が何とかしてくれるというおねだり体質が色濃く出ました。景気が悪いのに倒産が少ないのにはこうした背景があります。持続化給付金とか休業補償金とか、政府は倒産を出さないように懸命にない袖を振っているのであります。店舗閉鎖、休業といった実質倒産に蓋をして表面を糊塗してしまうのです。
 統計上倒産が少ない方は健全に見えます。がよくよく考えてみますと活力のあるベンチャー企業の発展を阻害しているかも知れません。せっかくの財政を死に体企業の蘇生に回したとなれば実質税金の無駄使いじゃなかろうか。経済は淘汰と台頭が絡み合う健全な競争社会であってこそ本来の資本主義社会じゃなかろうか。(年寄りの妄想です)
 銀行の融資は基本担保主義であります。しかし担保が不足すれば融資は焦げ付きます。コロナ不況の長期化で健全な融資案件が少ないうえに焦げ付きが増えれば経営は圧迫されます。この頃散見される銀行の合従連衡はこうした裏事情があるように思います。前例を踏襲しマニュアル化された融資ばかりでは発展性がありません。今が思案のしどころであります。
 ここにきてようやく変化の兆しが見えてきました。融資は不動産に拘泥せず企業ノウハウとか将来性、潜在性つまり事業全体を見込んだ金融の在り方が模索されようとしております。特に技術力のある発展途上の中小企業には人財とかポテンシャルがあります。そういった無形資産を融資の動機付けにする銀行の方向性が見えてきました。
 ゾンビ企業に成り代わる活力ある企業の出現はもはや待ったなしであります。

訂正
拙著老人に間違いがありましたので次のように訂正いたします。
13頁 古今和歌集巻第四「春之題」とありますのは「秋哥上」の間違い。ついでよみびとしらずの最後は「秋はたつらん」であります。
113頁「あれでいいのか眞子さん報道」の文中に「不合契約」とあるのは「付合契約」の間違い。


                 
 2022年11月5日
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