諷意茶譚7
              明けましておめでとうございます
              まん延するオミクロン株 気になる世の中の動向

                                                   ななえせいじ
 
 今年もウイルス騒動で明けました。「オミクロン」株まん延はとどまりません。それでも茶の湯を生業とする先生方はどうあっても初釜は辞められません。同門社中、弟子たちとのつながりを維持していくためには初釜こそが茶の湯文化の発揚の場なのです。コロナに負けておられません。
 茶の湯を楽しみとする数寄者は初釜参加を口実に自粛から抜け出し出かけて行きました。和服姿が普段より多いのは確か。これもまた年の始めの茶の湯業界の風物詩なのであります。
 初釜となればまず師匠の初釜は外せないでしょう。私は都合の関係で今年も参加できませんでした。他流儀の初釜に参加したのです。新しい出会いが期待されます。この日は、表千家のお師匠さんはじめテレビ局の部長さん、名古屋八事の陶芸家、半田の道具屋さんといった多士済々でありました。
 茶の湯の世界は趣味のつながりを主体とした組織でありますので街の道場に通う大勢の生徒が主体であります。ゆえに先生と呼ばれるほどの技量と知識の持ち主は少ないのです。この少ない先生方の下に大勢の弟子がぶら下がり稽古や茶会のお手伝いをするかして組織の維持に協力しております。例えば裏千家には淡交会という組織があります。大きな組織で支部の構成員だけで1000人近くになります。ところがこの組織のメンバーがここ数年の間に徐々に減っております。特にコロナを境に研究会等の勉強会も中止延期などままならない状況が続いておりました。ここにきてオミクロンの発症で一段と衰退しております。特に人流抑制、蔓延防止といった政府の対策が経済を抑制し社会構造の変化まで促しております。第一に人間関係の希薄があげられます。こうした変化は裁量労働の導入などからくる労働環境の悪化に起因します。労働の価値観が世代間格差を生みました。加えてインフレです。生活に追われる若い人は趣味に投資する余裕などありません。その最たるものが茶道だとしたら・・。老後の問題を抱える年配の人も次第に増えつつあります。さあここをどうするか、構造的な問題でありますから考えたって解決できそうにありません。
 ある陶芸家は端的にこのあたりを言い当てております。「お茶はもう当てにできない、若い人は習わないから陶器は売れない、今はオブジェですよ」と。
 余談ですが、日本の現状は物価が上がりつつある悪性インフレに行きつつあるようです。同盟国アメリカは急速なインフレを抑制するために金利を上げるとの方向性を示しました。万年人手不足の現場作業員の日給を上げなければ経済は回らない。NHKの報道番組でNYでは「大量離職」という言葉が労働者の合言葉になっていると知りました。少しでも条件が良ければ離職しましょうというわけです。バブル時の日本がそうでした。これからの春闘は給料を上げることへの闘い。岸田政策の新資本主義の分配から始めましょうよ。     
                         
               2022年1月28日
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