佐藤 智 プロフィール

1972年 東京都浅草橋生まれ

1995年 金沢美術工芸大学彫刻学部卒業

1997年 沖縄県立芸術大学大学院彫刻専攻修了

2015〜18年 大阪京橋画廊グループ展


石について

私は彫刻家の両親のもとに生まれた。よって彫刻、諸芸術作品や芸術家に囲まれて育った。
幼少期、私の遊び場のひとつに石彫場があり、足下を埋め尽くす宝石のように煌めく石の欠片に心踊らせていたのをよく覚えている。
また、石を彫る作家たちの人柄にも魅力を感じ、明るく大らかで力強くいつでも暖かく受け入れてくれる石彫家たちは私の憧れの大人像にもなっていった。
小学生の頃、父の厳しい躾を受け、書棚にあったミケランジェロの作品に光を感じ、石彫への憧れは益々強くしたという出来事もあった。
美術大学に入学してからは、様々な石に触れ造形することへの喜びを噛み締め芸術、石彫の虜になっていく。そして途中就職などで石彫から離れる時期はあったが、現在は再び石と戯れる日々を過ごしている。


珪化木について

珪化木とは、木の化石である。
私が使っている珪化木は石川県産であり、調べてみるとジュラ紀の樹木ということである。
特徴としては、火砕流に飲み込まれたのか樹木が炭化され、その後ケイ素化し鉄分も多く含んだものである。ケイ素化しているため硬度は高く彫るノミ先が欠け、火花が散るほどである。しかし、繊維質を残しているためか粘り強く繊細な造形が可能である。
また、比類のない深遠な黒が魅力的であり、石彫を始めた当初から黒石に自身の世界観や造形観を重ね求めてきた私との出会いは必然なのではなかろうか。
太古に生きていた樹木が石になる奇跡。その石を彫ることで再び生命が吹き込まれる。尊い地球の素材を使わせてもらい、森羅万象の形を彫り出す行為に神秘性を感じている。

 「ツクツクボウシ」 珪化木




 「声(子安如意輪観音)」 珪化木




 「蝉」 珪化木




「 母子像」 珪化木



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