歳在壬辰 葉月抄  服 部 清 人

徳川美術館にて八句
義直の深き沈黙秋立ちぬ

館涼し塵なく黴なく翳りなし

秋立つや鎧の背筋ますぐ立ち

館涼し時代屏風に署名なし

黴も帯びず屏風流転の果ての果て

夏の果ての休止符時代屏風観る

さればこそ小さき蟻にも影のあり

蝉しぐれ耳の向こふに四百年

ロンドンではオリンピックが
だうしても日本のことを雲の峰

されど残暑異国の空の日章旗

前を行くウサイン・ボルト夏の夢

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