歳在辛卯 師走抄  服 部 清 人

暮れの名古屋栄周辺で十句
極月の二秒間だけ北想ふ

北からの便り開くと雪の香の

手を合はすこと常となり十二月

ふりがなのよに添ふおさな児がくしゃみ

役終へしも冬塔なほも天を指す

陽だまりの野良の欠伸や漱石忌

木も黙り人も黙りて寒灯

襟巻のベートーヴェンや世の絆

それからと言ひあぐねつつ漱石忌

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