歳在辛卯 長月抄  服 部 清 人

吉良吉田にて十句
片陰に吉良忠臣の碑もありぬ

曼珠沙華地中に眠る人ありと

夏屋敷柱時計の狂いたる

ひそやかに夏の門扉の閉じる音

列島を串刺しにして野分過ぐ

一代記読みて心に野分過ぐ

耳たぶに触れたのは誰野分去る

みはるかす天高くして地の恵み

物語の最後に死あり曼珠沙華

死後のことなどは知らぬと鰯雲

俳句抄目次に戻る

トップページに戻る