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歳在戊子 卯月抄     服 部 清 人
 
芭蕉の さまざまなことおもいだす桜かな に寄せて四句
ていねいに生きてこそ知る桜かな

眼を閉じて瞼の裏にも桜かな

せつなしと書いて筆措く桜かな

浅からぬ機縁を重ね桜かな

護国神社の桜を観て三句
古壷新酒花の下なる浮世かな

さしだした指すり抜けて花一片

花と息打ち震えたり刹那生く

名古屋ボストン美術館にて
陽炎や外つ國の古都まだ踏まず

良寛のゆらぎの如く春のゆく

良寛の文字の細さや哀し春



この花の下にて眠る法師あり

川渡りまた川渡り花野かな

春吐息墨の淡きに溶けいりし

春愁や壷中の虚空闇深し

唐九郎に三句
かまぐれてふてぶてしくて志野うらら

異形なりかまぐれ春の呵呵大笑

風薫り桃山野武士歯ぎしりす

春愁や古書肆の棚の文字戯劇

明日がまたあると思えばこそ帰雁

一滴のにじみにひそむ春愁ひ

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