年寄りのたわごと
             あんたにいわれたくない―同窓会にて(8)
                                                    ななえせいじ

 コロナを抱えたまま年を越しそうだね。来年はよくなってほしいって願うけど無理かな。だって師走にして毎日暗い話ばかりじゃない? 中でも火事が多い。決まってその家の年寄りと連絡が取れないとかってなっている。その年寄りにぶら下がっているのが、無業か引きこもりか、仕事に就けない家族だというのだから、この国の雇用政策はどうなっているのかね?悲しい限りよ。
 年末になると必ず増える数字がある。火事もその一つ、ホームレス、交通事故、店舗閉鎖、詐欺横領、ひったくり、泥棒、自殺などなど。なかでも女性の自殺者が増えているそうです。つまりいびつな社会のしわ寄せが老若男女関係なく全方位に及んでいる。一世を風靡した男だって生きるに大変。歌手で俳優の藤木孝さんの自殺はショックだったな。事情は分からないが、80歳にして仕事が減ったっていうのがあるみたい。要するに皆追い込まれているっていうことよ。
 この不安な社会現象に拍車をかけているのがコロナ。世論に押され政府もようやく重い腰を上げたが遅い。もう過ぎたことは仕方ないとしても誤解されやすい会食はやめてほしかったね。危機感なき政府の姿勢と取られても仕方ないよね。問題は、若者の感染者が増えているってこと。これは問題だよね。自分は大丈夫と思ってか、GOTOキャンペーンに便乗して出かけなきゃ損とした感覚はどうにも止まらないらしい。赤信号みんなで渡れば怖くない式発想は乱れた民主主義のあらわれだ。国民の質もここまで堕ちたかと思うと、嘆かわしいね。うん?年寄りのお前に言われたくない?そうだったね。でも、間違いなく政治家も含め人間の思考力、判断力は堕ちている。そして国民は指示待ち族になってしまっている。だからして政府はもっと明確な指示を出すべきだった。
 ところが皮肉にもその政治家が次々と問題を起こしているよね。これを見倣ってしまう国民。西川だの、吉川だの、河井だの、これ令和の三途の川というらしい。その心は分からないが悪いお手本は間違いない。でも我が国は法治国家、名うての水先案内人がいて三途の川を渡り切らないよう指南する奴がいるかも。
 確かなことは、真面目に働いても棲みにくい世の中だってこと。それに今は大変な時。総理は冗談を言っている場合じゃないでしょう。あれはガス抜きのつもりならもっとすがすがしく言うべきだった。以上年寄りのたわごとです。
                         
               2020年12月18日
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