年寄りのたわごと あんたに言われたくない(23)
                  日本の現状をあぶりだした放火事件

                                                   ななえせいじ
 
 まず大阪の大量放火殺人事件、日本の現状を炙りだしたように見えます。犯人は鬱積した心の内を一気に払拭しようと用意周到に実行に及んだようです。死者25人という大惨事になったことで犯人の目的は達せられたのかもしれない。しかし私たち善良な市民はこれを許さない。犯人は世の不義理を嘆いたかもしれないがこの暴挙で世の中の不条理が修正されるとも思えない。であってもこの事件は今後のためにも深く正しく検証されなければならないでしょう。
 不条理な世の中の諸問題って何だろうか。犯人の心中を代弁しても始まらないが年の瀬を迎えて人々はコロナの不安を抱えつつ決して穏やかではありません。年の瀬にあれこれネガティブな単語ばかりが浮かんできます。
 解雇、雇止、非正規、失業、孤独、孤立、無縁、不遜、混沌、不正受給、不平等、貧困、差別、不平不満、いじめ、疎外、離婚、誹謗中傷、無視不義理、無給 無休・・などなど挙げたらきりがない。
 政府与党は世界に遅れている日本の幸福度感覚について産業界に働きかけ従業員の身体だけでなく内面の幸福・充実に関わる視点に立った骨太の方針をまとめようとしております。報道によりますと、いわゆる「ウエルビーイング」と呼ばれるもので計画推進特命委員会を設置、70件の基本計画をまとめたとあります。こうした動きは世界的なうねりで日本は遅れているようであります。日経によりますと内閣府はまず計測が必要として先進事業の共通の事例調査を急いでいるようであります。
 残念ながら不条理の今の世は人格否定の単語のオンパレードであります。これら事象がまん延する現世は頑張っても満たされない人達で溢れているのであります。先ごろの大阪の火災事件は厳しい年末を迎えて他人事では済まされない一面が顕れていると思うのです。読者の判断は如何なものか気になりますが、「犯人の気持ちもわかる」などと軽々に妥協しないで下さいね。
 コロナ不況の産業界は売り上げに苦慮しております。コロナ倒産も多発しております。でも、経営者の工夫によりこの厳しい状況下にも増収増益を果たしている企業が沢山存在するのです。そりゃあるでしょう、と簡単に同調しないでください。従業員をこき使う、給料を削る、経費を節減する、といったようなマイナス思考では発展しませんよ。
 この暗い世相下にも従業員は和気あいあい、明るく働き発展している企業が沢山あります。NHKの「さらめし」という番組を見ているとどの企業も良い雰囲気の職場環境にあります。働いてみたい気もします。
 事例を挙げますと京都の青果卸会社。従業員は生き生き働き、経営計画も立てやすい、完全年功序列と家族主義が経営の柱にあるとか。従業員は余計な気遣い不要、定着率良く採用にも苦労しないとあります。
 いま日本の企業の多くはこの逆をやっています。日本の良き伝統でありました年功序列制度は効率主義と裁量労働制の下にいつの間にか希望退職の序列になってしまいました。同じ釜の飯も死語に近く早期退職を促すためかよそ飯を食ってこいに変わっています。前から不思議に思っておりました。従業員を最大の味方にしないでその企業が安泰なわけがないでしょう。
 これはポストコロナの課題であります。
余談ですが、わたくしが知っているある調査会社の社是は「大家族主義と至誠努力、脱俗主義」であります。創業時の1900年、あの渋沢栄一から頂いた訓示を誇りに連綿と業界のリーダーであり続けています。先だってそこの社員に会いましたら売り上げ利益ともに減っていないし従業員の定着率も良くなっているとか。特にここにきて某国立大学の研究機関との提携による市場調査が売り上げの主力になりつつあるとのこと。面白い会社もあるものだとその時感心しました。つづく会社と滅びる会社の違いを垣間見ました。(つづく)
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               2021年12月25日
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