ニューノーマルの時代   
                  コロナはこれからの社会との共存を促す
                                                   ななえせいじ
 
 オリンピック競技は見ている分には楽しいし熱が入ります。これ正常な人間の証拠。しかし首都東京のコロナ感染者はオリンピック強行をあざ笑うかのように連日増加し続けております。ついに2千人に迫り日を追うごとにコロナ感染は深刻さを増しております。
 でもコロナを恨んではいけません。ひょっとすると世直しをしてくれたのかも。まず共存社会の意義を教えてくれました。ウイルスの一種スペイン風邪が流行った時、渋沢栄一は78才でありました。日本を良くしたいという渋沢の思いは引き継がれておりました。大河ドラマ「青天を衝く」の視聴率が高いのは忘れていた日本人の心を呼び覚ましてくれたからではないでしようか。その渋沢栄一的こころをどう汲むかこれからの日本の未来がかかっていると思います。(心配ご無用ですか)
 この頃の日本の若者は損得勘定で動き、表現の自由をいいことにやり込め的発言が目立ちます。日本を良くしたいという視点にいささか欠けるように思います。民主主義が熟成した今は強いもの勝ち風潮が社会にまん延しているように思います。自己主張が過ぎるからトラブルも絶えない。この頃特にコロナ発症以後、日本は悪くなっていくと危惧しています。老い先短い年寄りの感想だから無視して構いませんが・・。(年寄りの出る幕じゃない。そうでしたね)
 みんなコロナが悪いのです。いつの間にか仕訳けられていく社会。感染にかこつけてよい人間と悪い人間を仕分けていく。悪い言い方をすれば差別化していく。良い時代のかつての差別化は「他にはない」「一味違う」というような意味合いがあった。ところが最近は「間違った優越感と有頂天」になりいい気になっているにわか善人が多すぎやしないか。SNSとかYouTubeとか発信の機会が増えたからなのか、無意識に人を傷つけてしまう事故が社会問題化している。コロナ自粛による不自由さが無軌道な人間を生み出している。煽り運転しかり、路上飲食したり、殺人、放火、窃盗、詐欺等々常識を逸脱した極悪犯罪が横行している。民主主義が裏目に出ている。
 例えばワクチン接種。それは国民皆接種と理解していたのにいつの間にか自由裁量に任され我儘が通るようになった。打つも打たないも自由。オリンピックに関する発言も自由。無観客でも楽しければいい、コロナなんてみんなで渡れば怖くない。これ民主主義?それとも自由主義? 
 ことワクチン接種に関し、65才以上の高齢者は早くに2回接種を終えています。正直2回目を終えたところで私も非常に安心いたしました。この感情は若者の感情と異なるもののように思う。
 さて複雑な心境の中でオリンピックは始まりました。テレビの前で憚りなく応援しています。時に選手をなじったりもする。女子サッカーの初戦。辛うじてカナダと引き分けた時、熱いものがこみ上げました。感動しました。この時、テレビ観戦者はどう感じたのでしょうね。「勝てたのに」とか、「なんだ」とか。どっちにせよ民主主義はいびつ化し国民感情は無意識に差別化に加担するのです。それでも民主主義は守らねばならない。
 近代日本は、明治維新より「勝てば官軍、負ければ賊軍」というように欧州ナイズされた差別化意識が今に繋がっているのではなかろうか。官僚主義の社会、大企業主体の社会、偏差値偏重の教育制度、どれもこれも差別化体質を助長しております。そしてコロナを機にますます差別化が高度に変異しつつあります。少なくとも令和日本の民主主義は変異していっているのです。でも賊軍になることはまずないでしょう。
 この頃、国家公務員や高級政治家の不祥事、大手企業の不正事件が表面化しコロナで揺れる世の中を騒がせました。日本のリーディングカンパニーの危機意識のなさはどこからきているのでしょうか。前にクラス会のことを書きました。企業のトップが腐っていると社員も当然、OBまで腐っていると・・。普通の会話の場面で「あんた共産党かね」と決めつけたその人こそが不正企業の元社員なのであります。定年後数十年たっても特権意識に侵されているという日本の企業社会はコロナを機にお仕舞いになりそうであります。これからは上級も下級もなく共存していく社会が必要なのです。赤信号みんなで渡れば・・というフレーズ、これは警告用語ですが、今の世の中青信号でも一人で渡れば怖い世の中なのです。コロナもみんなで感染すれば怖くない。変な共存意識が若者の間で共有されているように思えてならない。
 コロナは完全に終息しないでしょう。みんなが罹って免疫抗体化すれば終息するかもしれない。つまり共存を受け入れればコロナだっておとなしくしていくでありましょうってこと。(すみません、全くお笑い芸人風発想でありました) つづく
                         
               2021年7月28日
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