ニューノーマルの時代
           いやな渡世だね 渡る世間は鬼ばかる

                                    ななえせいじ

 このところコロナ禍は広がり、医療現場は逼迫、ワクチン接種は混乱、その上に変異株が万延しつつあります。市民生活はと言いますと自粛ムードに覆われ飲み食いはもとより人との接触もなるべく避けております。大学は依然オンライン授業、職場はテレワークの在宅勤務、各種イベントは中止。これでは大量(大勢)型経済構造は変形するよね。近代経済の象徴そのものに見えるオリンピックまでが中止ムードに包まれております。せっかく一年延期したのにね。終息すると思ったのでしょうか。政治の失敗? 優れた日本なのにワクチンの開発がいまだに出来ていない。古い構造の重厚長大型産業に肩入れするのはいいとしても科学者の研究費はけちっている。これでは世界に遅れをとりますよね。未だコロナ終息の目途は立たず国民の不自由が続くのであります。特に若者に危機感は感じられません。コロナを軽視している節さえあります。政治家の言葉には馬耳東風。都知事の要請も通じません。むしろ人出は増えるばかり。繁華街でインタビューを受ける若者は、まるで就活の模擬面接みたいでなめらか。どんな時も自分を正当化します。いまや高級政治家も形無しであります。
 今日本人は五層くらいに分かれます。青少年、中高年、中堅熟練、還暦古稀、後期高齢(勝手な仕分けですので気にしないでください)。それぞれに生きてきた時代背景が違います。従って若者に対して「今どきの・・」という表現はタブーであります。あんたに言われたくないって返されますよ。

ここでは先ごろの国政選挙について感想を述べておきます。とにかく年寄りのたわごとですので見当違いもあろうかと思いますが、笑って許してください。
 まず特定の政党に向かって言っているわけではありません。ここは選挙結果に拘らずどの党のリーダーも大人の対応をしてもらいたい。選挙は社会背景を鏡のように映しだします。まずコロナは沢山の困窮国民を生み出しました。きたる総選挙はコロナ対応の評価が必ず一票に託されます。その結果が与党か野党かに色濃く表れるはずです。コロナ前でしたら幸せならどっちでもいいや、とやり過ごしたかもしれません。
 国民の生活が野党も与党もなくうまく機能してくれればいい。先の選挙結果から推して今のところ野党のほうが少し有利かも。しかし、平和ボケした国民はどんなに困窮しようとも刹那的で気まぐれ、政治的信条はなくてお任せ、神のみぞ知るであります。
 数年前のクラス会で私はこんな経験をしております。自分の思想は無色透明と思っておりましたら他人の目にはそうは見えなかったらしい。超大手企業に勤めていた同級生の一人がツーっと寄ってきて「あんた共産党かね」とぶしつけに言ったのです。後日その人は、先入観からだと気づいたらしくその後は気持ち悪いほどに愛想良くなったのには驚きました。
 思想信仰の自由というのは憲法で保証されております。しかし大手企業に勤めるとそうはいかないらしい。どこに所属したかで人生が決まる日本社会は格差を助長してきました。しかしコロナ後はこの構造に変化が生じるでしょう。どこに所属したかでなくて何が出来るかで決まるのです。
 社会の動きは急であります。例えばこんなニュースを読みました。大手企業で組織する健康保険組合の多くは赤字だそうです。解散するところも出てきたと。これは自分のことは自分でという自助社会を示唆します。産業の仕組みも変わっていくでしょう。定年後も会社が面倒見てくれていた「会助」(こんなことばはありません)の時代は終わったのです。老後資金は自分で工面せよってことですかね。
 皮肉はこれくらいにして、これからの日本は変わるであろうことは期待できます。
大企業の税制面での有利さが失われていくかもしれない。コロナ禍で国のバランスシートが悪化してきたとなれば、内部留保潤沢な企業に頼るほかないでしょう。
 国民は納税の義務は承知していております。でもコロナ解雇や雇止めで職がないのが現状。明日の生活さえおぼつかない。これでも自己責任で頑張れってか。ここは富裕層頼みでしかないでしょう。マネーゲームで潤っているIT 産業やコロナ太りした企業も結構多いらしい。徴税の手管は国にあるのだから。
 何はともあれ、頑張る人が報われる社会になってほしい。引きこもりの夜の夢でした。
                         
         2021年5月4日
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