年寄りのたわごと
             あんたにいわれたくない―(10)
                                                    ななえせいじ

 さて民主主義の次は資本主義。これも変異しております。例えば株価、先ごろ最高値を付けましたよね。バブル化しているのかな?実体経済との乖離を危惧する論調もあります。が市場は、常に上昇基調に軸足を置くものであります。よって景気と相場の乖離を投資家は正直に判断できないのでしょう。相場の陰にはこれを煽ったり仕掛けたりする投資家が必ずいるはずであります。そこには必ず人間の欲望がまといます。だからしてバブル相場は必ずはじける。
 それに投資の対象が多すぎると思いませんか。人口が急減しているというのに投資信託だのマザースだのジャスダックだのと投資のアイテムが多すぎますよね。素人は目標が定まりません。それにCMまでが投資を煽る宣伝ばかり。ついには市場側から「損をする人の共通点」とか言って体よく解説し、油断させておいて投資を煽る宣伝まで出現しました。
 人口減と少子化は偽りのない真実であります。ということは確実に減っていく人口なのに投資銘柄は増えている。株式市場の美人投票論から推して投資家は美人に群がるという心理を警戒しなければならないでしょう。
 確かに資本主義は変異してきていますよね。大河ドラマ渋沢栄一を観ながら自分なりに検証してみたらいかがでしょう。黒船来航の頃はさておくとして、近代資本主義は株式市場を戦場にしてM&AやらTOBやらあの手この手でグループ化を図るというようなかつての財閥とは違った新しいスタイルの財閥の出現に加担しています。分からないのはサラリーマンまでを市場に呼び込んで株価を吊り上げるというような動きであります。高度経済期を支えてきたそのサラリーマンが後期高齢になってやがてこの世を去る時がすぐ目の前にきているという今こそこの事実を理解しなければならないでしょう。貧富の差が著しいポストコロナは株式難民を出してはならないでしょう。コロナ株と同じにできませんが、変異した株式、人によっては高度化した市場が減り続ける人口と懐具合が悪化している人々を取り込もうとしているとしたらこの高騰は危険水域にあるかもしれませんよ。コロナ禍で株式市場は迷走していくであろうと考えても大きく外れないでしょう。(お前に言われたくない)

資本の原理が変異し、小が大をのみ込む逆転の現象はもはや普通であります。また持ち株の多寡により発言力が増すという資本のルールが安定株主を無視し始めております。素人には分からない世界なのであります。
 年金生活者となったかつての高度経済をさえてきたサラリーマンが、少しの退職金の余裕を新資本主義社会に投入してはいけません。つまり大株主のまねごとをしてはいけませんということ。もし運よく株式で儲けたとしたなら、それは不労所得、その儲けでささやかに家族会食をするはいいとしても有頂天になってさらに投資するという博打スパイラルにはまってはいけませんよ。先に政府からもらった10万円の給付金の多くは貯金に回ったとの観測がありましたよね。それでいいのだとこの年寄りは思います。政府のコロナ対策で何を感じましたか?国民の命と暮らしは安全でしたか?年寄りからの忠告は、コロナ禍の株価高騰に惑わされないようにであります。(あんたに言われたくないでしたね)。
                         
               2020年12月18日
生々文庫目次に戻る
最初のページに戻る