老いぼれ探偵の街角ウオッチ_17
                  懸念される倒産多発 その態様とは?

                                                    ななえせいじ
 
 コロナに関わる企業倒産が増えております。倒産の態様はいろいろです。会社更生法、和議法(この二つは再建型)、破産法、特別清算(この二つは清算型)といった法に基づく法的整理があります。他に再生を目的とした民事再生法によるものがあります。破産法には自己破産と第三者破産があります。中小零細企業に多いのが示談・和解による私的整理であります。債権者集会を開くなどして債権者の協力を仰ぎながら再建を目指すもの。しかし、内々で債務を棚上げして再起をはかろうとしても現実は厳しく債権者の追及を逃れるのが精いっぱい、いずれ倒産に追い込まれてしまうのが多いのです。表面化しにくいので隠れ倒産とも言っています。
 これらの形態とは別に後継者難とかの理由で早めに事業を畳んでしまう自主廃業があります。ただしこれは廃業であって倒産ではありません。従って倒産件数にカウントされません。
 最悪のケースは誰にも告げずに事業を畳んでしまう、いわゆる夜逃げといわれるケース。コロナ終息後はこれが一番心配になります。
 さて近年、著く増しているのが廃業というケース。倒産というレッテルが張られておりませんから、再起も可能なのです。老舗の中小企業ならば事業再開のあてがつくまで一時的な空白があっても事業再開は可能なのです。
 新聞報道によりますと、先ごろ銀行協会が不渡りによる銀行取引停止処分を当面課さないという、つまり半年に2回で停止処分となる協会の取り決めを適用しないで破綻をひとまず回避させるという決定がありました。特に中小企業にとって有難いはからいであります。また先ごろ国会では100万円とか200万円とか、当面の事業持続化資金の予算案が可決されました。手続きが面倒で複雑、なかなかお金が下りないらしい。心配なのはこのせっかくの支援資金を銀行とか債権者が差し押さえに出る可能性があるということ。先ごろ国会ではこの差し押さえをしないようにとの要望が出されました。そうでもしてくれなければせっかくの持続資金が役立ちません。でも銀行は目の前の現金を見過ごすわけがないでしょう。旧借入債務の返済に充てさせたうえ借り替えさせるという手続きを提案してくるに違いない。国が差し出した傘を取り上げてしまうような銀行は頼みにならないことになる。まして闇金融とかアウトサイダーの金融業者はハイエナのように群がってくるかもしれない。
 企業倒産にも通常倒産と悪質な倒産があります。悪質倒産の部類に入るのが、計画倒産、偽装倒産、粉飾倒産、取り込み詐欺が絡んだ倒産などであります。
 近頃は自己破産申請も悪質な倒産とみなされるようであります。これまでは破産者も社会人として再起の機会が与えられてしかるべきとの考えがありました。破産は宣告を受けた時点で借金がチャラになるからです。ただしこれまでの経営姿勢によって破産廃止になる可能性もあり運用が分かれます。
 計画倒産というのは、計は謀るに通じ、実際は黒字なのに計画的に赤字を装い倒産させてしまうケース。まだ頑張れるのに経営努力を放棄して計画的に整理してしまおうというもの。赤字を累積するところまで行っていないから黒字倒産ともいう。
 偽装倒産は倒産を偽装するケース。別会社ないし子会社をつくって主たる業務を徐々に移し、実質的に本体の事業が立ち行かなくなる。社内は内紛状態で、第二会社を作るなどして分社化を画策するのが一般的。第二会社は資産と負債を引き継ぐがその時負債を大幅にカットするために元の会社を偽装倒産させる。このケースは同族企業に多い。親子の問題やら後継問題やらが絡みけっこうドロドロした骨肉争いに発展する。まず内紛が起こりやすいから、主流派、反主流派と分かれての主導権争い、特異な例では労組つぶしのための偽装倒産もある。もう一つ同族企業で目立つのが偽装離婚。資産を別れた妻(または夫)の名義に移して指し押さえを免れようとする。夫婦は連帯保証人でもない限り債務の責めは受けない。ただし道義的責任は別。
 ダークなことばかり書きましたが、これはコロナ終息後の社会変化とともに起きるであろういろいろなタイプの企業倒産の実態であります。(楽に儲ける時代はもう来ません。要らぬお節介でした)。
                        
                  2020年5月3日
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