老いぼれ探偵の街角ウオッチ_13
                  はじめての引きこもり 自分見つめ

                                                    ななえせいじ
 
 コロナ感染予防の決め手は、不要不急の外出を控える、というもの。これに過剰に反応した家人は「年寄とお化けは出ないほうが良い」といって監視するので人生はじめて引きこもりを体験しました。こんなわけで駄文を書いて気を紛らしております。
 こんな引きこもりの老人所帯を狙って、コロナ騒動につけ込んでの詐欺行為が頻発しているそうであります。そこで以前、危険な社会から身を守るには冷静な自分見つめが必要だと書きました。(2月4日号)
 危ないのはコロナ感染が終息に向かう頃と思うのです。これには自分自身が賢くなるより他ありません。その初歩の保身とは? 電話は留守電にする、玄関はすぐ開けない、訳けが判らない署名はしない、支払いは商品を手にしてから、株投資はしない、というもの。
 人を陥れようとする人は、巧妙な手口で判断の余裕を与えない、というのが常套手段。最近実際に起こった詐欺事件は、電気とか瓦斯とか保健所とか、公共事業体の信用を利用して不安を煽り油断させておいて複数人で上がり込み、気をそらせて室内を物色するというもの。判断力が鈍っている年寄はただおろおろするばかり。そこにつけこまれたらもう逃げられません。マスクの例に見られるように世の中の不安に便乗するというのが通常の手口です。この頃の訳もなく買い込んだり並んだりする人たちを見ているとなんと騙されやすい人が多いことかがわかります。
 株価が暴落しております。株価はケインズ論によれば「美人投票」そのもので銘柄より人気投票結果にあります。現下の株価は無観客ショーのようなもので楽屋裏での美人コンテストでありますのでケインズ論は当てはまらないように思います。従って素人投資家は株に手を出してはいけません。これは友人の事であります。彼はベンツ数台分損をしたと余裕で笑っていましたが、株価は必ず戻るとの確信があるようです。たぶん「鳴くまで待とう」の心境なのでしょう。「慌てる乞食はもらいが少ない」とも。いずれにしても不透明な予測のうえの話であります。
 予測に対する結果の誤差が少ないほど改革は進み世の中は安定するものである、とは米国の経済学者ガルフレイスの論説でありますが、このコロナだけは予測の範疇を超えております。感染の急拡大につれて専門家は緊急事態宣言を急いでいるようでありますが、政府は自生的な楽観論に終始、一日で300人を超す感染者が出たにも拘わらず決断を渋っているようであります。まさにオリンピックの時にもこのような迷いが感じられました。マスクを全世帯に配るという話も一か月も前に提案されてありながらタイミングを逃しております。こんな時にパフォーマンスはいりません。国民の生命と暮らしを守るには決断と実行は一時も早いに越したことはありません。
 コロナでいろいろなことが見えてきました。特に若者の危機意識の無さには呆れます。不要不急の外出を自粛するように呼びかけても無視、一番危険な欧州へ卒業旅行や新婚旅行をしたというのがいましたが、やっぱり若者は平和ボケしているのでしょうね。
 若者ばかりか年寄も総じて楽観的であります。例えば地震、地震学者は南海トラフの警告をいくら発しても多くの国民は楽観的に生きております。私も含め安心安全な国を信じてか、まったく備えのない人が多いのであります。「国が面倒看てくれるでしょう」と高をくくっている。しかし国は、一通り対応はしてくれますがかなり事務的でありますよ。まして権利ばかり主張して義務を果たさない人には冷たいのであります。自生的な楽観論者は置いてきぼりを食うことになります。
 国民の義務とはどういうものだろうか。納税の義務は判りますが、普通であれば当然子育ての義務も伴うでしょう。国民の一人として憲法25条に言う「健康で文化的な生活を営む権利」を主張するからには、子供を一人前の納税義務者になるまできちんと子育てをするというのも国民の義務と思うのであります。
 ところがですよ、引きこもりの無業者が63万人にも上るというのです。これコロナ関係なく以前から日本が抱える社会問題であります。ほかに路上生活者、車中生活者が多数おり、年収200万円以下(これ半分は雇い主企業の責任)の貧困世帯が山といる状況にあります。こんな状況下に発生したコロナ騒動であります。今に思うにオリンピックを誘致したのは果たして正しい判断だったのでしょうか。ほんとうのところ、国民は、こんなお祭り騒ぎに加担してはいけなかったのでは?(こういうのを後の祭りというのです)。
 コロナウイルス惨禍を「東北の怨念」と決めつける人がいました。東北の人たちの生活が元に戻るのは一体いつの事でしょう。「地震、雷、火事、おやじ」と言いますが、令和の時代は「地震、コロナ、雷、火事、女房」の順となるのでしょうかね。 
                         
                2020年4月5日 生々文庫目次に戻る
最初のページに戻る