老いぼれ探偵の街角ウオッチ_12 
     
           東京オリンピック先送りに勝算ありや?

                                                    ななえせいじ
 
 東京オリンピック開催は一年先に先送りされました。関係者はこの決断に相当ご苦労なさったことでしょう。またアスリートの方々にはなんと申し上げていいか言葉が見つかりません。
 この社会は「不確実性」から「不透明性」の時代へと移り変わりつつあります。着地点がはっきり見えません。つまり一年先も確実にオリンピックがやれるという保証はありません。「将来を左右する人間の決意は自生的な楽観論に依存する」というケインズ論を生かじりで持ち出すとしたなら、今でしょ!
 新型コロナウイルスは、人間社会に大いなる警鐘を鳴らしてくれました。少子高齢化社会にあって、経済のグローバル化がこのウイルス惨禍を誘発し、楽観論では乗り切れないということであります。
 その経済のグローバル化のことでありますが、これまで経済人は仲間を呼び込んで財界を組織、そこに政治が関わることでうまく機能してきましたが、コロナ一つで機能不全に陥ろうとしております。招かざる大不況によってお金がかかることばかり、いろいろな分野で動脈硬化を起こしつつあるようです。社会保険、医療保険、雇用保険にまで及ぶなど国は消費税以外からも収入の道を探らなければならないでしょう。
 外国人労働者を多数導入したのもグローバル化。働き方改革もその延長線にあります。「同一労働同一賃金」という理想が裏目に出ております。労働に伴う格差は是正されず、非正規雇用者の苦難は続くのであります。その人たちはこのコロナで在宅勤務により実働が少ない分カットされたり、手当もつかないなどで生活のやりくりに苦しんでいるのです。
 グローバル化は一方でAI革命をもたらしました。AI導入による省人化で人が要らなくなる職業が多岐に上るそうです。たとえば英語が必要な分野でもロボットが代行するというのです。作業現場や組み立て作業など人間がしてきた分野は限りなくロボットがなり変わる。人海戦術という言葉が消えていくかもしれない。怖い社会がすぐそこにやってきております。たとえば今まで250人の従業員を要した作業現場は2人で済むというのです。ロボットは文句も言わずに夜中も働く。こんな使い勝手のいい従業員はおりませんよね。これがAI革命、ロボットの世界なのです。
 私は思いました。それほどロボットが役立つならば、ロボットを人間に換算して一基がヒト何人に相当するかを割りだし社会保険料を徴収したらどうかと。計算式は頭のいい役人に任すとして、こういうことも議論してほしいのであります。
 話を戻して、オリンピックの先延ばしの決意の裏には、誘致を勝ち取ったという自負とお金をたくさん使った手前、止めるとは言えなかったのでしょう。「一年程」という言葉の裏解釈には、やれる、やれない、の丁半の博打的意味合いが込められております。大体、復興オリンピックといいながら、いつの間にかこの大義が薄れてしまっている感さえあります。
 加えて地球温暖化問題。この問題に日本は、いかほどの危機感を抱いているのでしょうか。グレタさんの激白に対してもなんだか他人事のように見えました。東日本大震災は勿論忘れてはいないでしょうが、まさか昨年の台風19号被害まで忘れてはいないでしょうね。温暖化は間違いなくサクラの開花を早めております。今年も台風が怖いのです。コロナが長引いたうえに台風被害が重なれば、オリンピックどころじゃないかも知れませんよ。
 昨年の正月だったと思います。同期生らとの新年会で「オリンピックは最悪中止になるかもね」と発言したことがあります。「何をバカな」と皆は呆れておりました。それはそうでしょう。一党独裁の日本国は安定しており、景気も良く、株価も上がり、おもてなし一色のオリンピックはめでたやめでたやのムードに満たされておりました。
 その頃世界は、一触即発の危機をはらんでいたと思います。米中の貿易摩擦、米イのにらみ合い、北朝鮮のミサイル問題、中東の揉め事、宗教問題、などでけっこう危なかったと思います。一発のミサイルで戦争に発展しないとも限りません。ところが今年になって、ミサイルならぬウイルスにより世界は戦争に匹敵する混乱に陥っているのであります。今は互いが牽制し緊張を抱きつつもバランスは保たれているようでありますが、問題はウイルスが終息した時であります。国際経済は大不況を抱えたまま、国家間の経済格差、貧困問題、領土問題、エネルギー問題、宗教問題等々、争いの火種を残したままどこかの国が他人の財産をふんだくる挙に出ないとも限りません。窮鼠猫を噛む、というように一度理性が狂い出すと戦争以外に収拾が付かない状況を招かないとも限りませんよ。
 オソロシヤ、オソロシヤ、であります。 
                         
                2020年4月1日 生々文庫目次に戻る
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