老いぼれ探偵の街角ウオッチ_11 
     
        節約志向は国民としてより個人としての生き残り策

                                                    ななえせいじ
 
 この先、どのように世の中は動くのでしょうか。
 まず心しなければならないのは、いったん火がついた消費者の節約志向はそう簡単に戻るものではありません。「ほしがりません勝つまでは」の戦時の我慢生活は、目には見えませんが日本人の心に焼き付いております。高齢者は特にトラウマになっているほどなのです。ここにきて特に、マスクとかトイレットペーパーとかの日用品確保に振り回され懲りております。さらに騒動につけ込んだ悪徳商法の誘惑にも懲りております。
 コロナ騒動は長引いておりますが、その分消費者は賢くなっているのも確か。状況判断が出来つつあります。政府お誂えだけでなく自己判断で危機を回避しようとしております。本来の基本的な危機管理の姿と思うのです。天童よしみの歌じゃありませんが、「なめたらあかんで」とばかり強い意思で自分ファーストを貫きつつあります。その典型は、「消費は美徳」とした過去の無駄な消費を改めようと、自分なりの「いい消費」を迷いなく実行しているようであります。消費経済の終わりの始まりなのです。  
 山形県下唯一の老舗百貨店が閉鎖した、というニュースはまだ1月のことであります。豊橋の老舗百貨店も先ごろ閉鎖しました。拡大路線をひた走ってきたコンビニも縮小均衡に舵を切ったというじゃありませんか。それはそうでしょう。濃厚接触の至近距離に多店舗展開してきたコンビニは、過疎地をないがしろにしたという矛盾。売り上げの規模だけを誇っても企業の最大の役割である奉仕の精神が見えてこない。少しもコンビニエンスじゃない。この傲慢姿勢では、「人口減と少子化」に勝てません。
 どの業界も効率と収益性重視の拡大路線から顧客本位に方向を切り替えつつあるようであります。高度成長期時代に流行った「お客様は神様です」のフレーズは間違いなく過去のものとなるでしょう。「俺は客だぞ!」と店のオーナーにいちゃもんをつける見苦しいお客もいなくなるでしょう。
 21世紀型の意味合いを持ってこれからは「お客様はパートナーです」に売る側も買う側も意識変化していくでしょう。旧市街地のシャッター通りが、対面商法で賑わいを取り戻した事例は沢山あります。その最たるものは伊勢の「おかげ横丁」であります。「お客様はアドバイザーです」ともいえるのかもしれない。
 コロナウイルス騒動をきっかけに、売り上げ規模を競ってきた経営から完全に「社会奉仕」の経営に切り変わりつつあるようであります。つまり、クオリティー勝負になるということです。一口にクオリティーといいますが、製品はもちろん販売、接客、デリバリーに至るまで全部門に及びます。一番大事なのは経営者と社員の質、これが大切であります。これからの企業の在り方は、大・小でなくして企業の質に視点が置かれることでしょう。そこで働く人は、「働きがい」に生きがいを見つけるでありましょう。このことがやがてその人の「人格」を形成するのであります。
 社会の一元的な価値観、すなわち大企業なのか中小企業なのか、ホワイトカラーなのかブルーカラーなのか、電力のような基幹産業なのかどうなのか、といった規定の価値観は大きく変化していくでありましょう。今まで企業に護られてきた従業員はそのフィールドから放たれ、真の実力勝負となる。よって企業への帰属意識も薄れるでしょう。名詞でいうなら、個人名が最初にかかれ、関係する会社があるとすれば、後ろの方に小さく書かれることになる。会社の信用で仕事をするのでなくして自分の信用で仕事をする。
 5Gも始まりますよ。真面目だけじゃ駄目、仕事にどれだけの付加価値が付けられるか、が評価基準になる。ウイルスはこういう社会の到来を示唆しているのです。
 新聞だったと思います。こうありました。参考になります。
 「大いなる働きは人格の徳分によるもの、技能のみで量れない」。 
                         
                2020年3月25日 生々文庫目次に戻る
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