歳在庚寅 霜月抄  服 部 清 人


ボストン美術館「浮世絵展」にて八句
埒もなや靉靆の空冬の立つ

階のてっぺん釣瓶落としかな

翳りなく隈なく写楽露の玉

大首も露のごとくに雲母光る

大首も口結びたり露寒し

十分の一ミリのズレ版冴ゆる

役者絵の黒髪に櫛露めきて

写楽に
黒雲母に目はくりくりと露の絵師


露の世に 二句
フェルマーの最終定理露の世に

露の世に命ひとつをもて余す

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