歳在庚寅 神無月抄  服 部 清 人


御園座歌舞伎顔見世にて七句
菊五郎月下舞い飛び目が合ひぬ

秋芝居おうな嘆きのあな慙死

名跡の血の節まはし柿花火

舞台回りあやし闇夜や寒露過ぐ

国姫の袖にも菊の小紋あり

天晴な宙に菊舞ひ芝居果つ

月場面あやしをのこはすぐ斬られ


空に秋の雲 三句
たとえばと言ひだして君鰯雲

前兆は梢のゆらぎ野分きぬ

永遠の今を生き切る秋蒼茫

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