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歳在戊子 霜月抄   服部清人 

紅葉踏みやをら佛の顔となる

もののけも冬仕度なり森ひそか

さみしさは雀の嘴ぞ一茶の忌

冬眠の木霊の寝息ひそやかに

一粒の哀愁といふ實むらさき

空風の行き止まりなり己が耳

屈原の耳濯ぎたる秋の夢

分け入りて何おはします秋の寺

やがて散ることを知りつつ照葉かな

水澄んで深きに向かふ魚あり

白秋や深く沈める石想ふ

秋彼岸死ぬのはいつも他人なり

潺々と水ゆく先は白き秋

幼子の小さき手より檸檬落つ

霜月や石英の音カチリとす

  

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